DTMをするなら、まずヘッドフォン

創作活動

DTMをしていると、良い音質で作品を作れるようになりたくなってきますね。

僕がライブ演奏を軸に活動していた頃、ギター、アンプ、エフェクターなどにお金を使っていましたが、DTMでの創作に活動の軸を置くようになってからは、録音機材や編集用のプラグインにお金の使い道が変わってきました。

僕がDTMを本格的に始める際、まず最初に買ったのはヘッドフォンでした。

当時オヤジバンドでアルバム制作のためにスタジオに入り浸っていたんですけど、日本の音楽業界での経験があるバンドメンバーに「これを持っておくと良いよ。コスパも良いし、実際のレコーディングの現場でもよく使っていたよ。」と勧められて買ったものでした。

それまでにも一般的なヘッドフォンは持っていて、普通に音楽を聴くにはそれほど不満もありませんでしたが、スタジオで使っていたヘッドフォンとは聞こえ方が違いました。

一般的なヘッドフォンは心地良く音楽を聴けるように再生音に色付けや補正がかかっていたり、迫力ある音に聞こえるように低音が強調されていたりしますが、スタジオで使用されるモニターヘッドフォンと呼ばれるタイプのヘッドフォンは、原音を忠実に再生するように設計されているので、音を顕微鏡で見るような感覚で音を聞くことができます。

スタジオで使っていたのはSonyのMDR-CD900STと、
SONY / MDR-CD900ST
同じくSonyのMDR-7506でした。
SONY / MDR-7506
*画像をクリックするとそれぞれのヘッドフォンの詳細をSoundHouseさんのページで確認できます。

スタジオでは録音時にはMDR-CD900ST、ヘッドフォンでのサウンドチェックにはMDR-7506というように用途に応じて使い分けていました。

MDR-CD900STは日本のレコーディングスタジオで定番として長らく愛用されているもので、全体のバランスは当然のことですが特に高音域の再生に優れ、繊細な音も再生してくれるので些細なノイズやミスタッチも聞き逃さず、精度の高いモニタリングができます。

一般人の僕でも演奏に対する判断基準が格段に上がるので演奏にシビアにならざるを得なくなり、その結果、精度の高い録音ができるようになります。

慣れないうちは自分の演奏力の酷さに愕然としますけどね。(^^;

MDR-7506はMDR-CD900STに比べると高音域が落ちるので繊細さや音の解像度は落ちますが、その反面、全体的な音のまとまりや一般的な再生環境を想定したモニタリングに向いています。

MDR-CD900STはシャキシャキとした音になるので、その音に合わせてミックスをすると一般的な再生環境で再生したときには高音が落ちて聞こえてしまうのですが、MDR-7506はマイルドな聞き心地で、このヘッドフォンでバランスよく聞こえるようにミックスをすると一般的な再生環境でもそれなりに聞こえるというメリットがあります。

日本ではMDR-CD900STが定番のようですが、LAではMDR-7506を好んで使う人が多いとも聞きます。

僕が勧められたのはMDR-7506の方でして、まずはこのヘッドフォンでいろいろな曲を聴いて、どのように聞こえるか経験を積んでいくことから始めました。

何をするにも、自分で判断ができるようになるためには自分自身の中に基準となるものを養う必要があります。

僕がミックスを本格的に始める第一歩は、自分のモニタリングヘッドフォンを買い、ミックス用の耳と感性を育てることでした。

そこからオーディオインターフェイス、コンデンサーマイク、モニタースピーカーと少しずつ機材を揃えていきましたが、今振り返ってもヘッドフォンを最初に買ったのは良い選択でした。

ミックス耳を育てるのに欠かせないヘッドフォン

モニターヘッドフォンでそれまでに聴いてきた音楽を聴き返してみると、今まで聞こえなかった音が聞こえてきたり、音の定位が見えるように聞こえてきたりと、それまでにない新鮮な発見の連続でした。

当時の僕にはミキシングなんて右も左も分からない世界で、音のバランスとかミックスで目指すものなど見当もつきませんでした。しかし、前述のバンドメンバーからエンジニアの人達がミックスのバランスの参照にするようなリファレンス音源とされるアルバムを教えてもらい、それをMDR-7506で聴いて、ミックスのバランスや雰囲気を体に覚えさせていきました。

この経験は、その後の自分の音源の編集でどのようなミックスを目指せば良いかのイメージを養ってくれました。

まぁ、お勧めされたのがTOTOとかスティーリー・ダンとかの80年代LAサウンドが多かったので、昨今のEDM系の音楽と違って少し古臭いミックスになってしまうという面はありますが(^^;

その辺りは、曲のミックスを始める直前に参考とする音源を聴き込むことでイメージをアップデートするようにしています。

その際もヘッドフォンで聴くのは大切なことで、ヘッドフォンで外部の音を遮断することでリバーブをどれぐらいかけているのかもチェックできます。

これをスピーカーのリスニングだけで済ませてしまうと、部屋の反射音や残響音の影響でリバーブの量の見当もつかないですし、音像もぼやけて聞こえて定位も分かりにくいです。

ヘッドフォンはマイク録音時の音漏れを防ぐだけのものではなく、ミックスのための耳や感性、理想的なミックスの経験値を増やすためにもとても有効なアイテムだと思います。

僕のヘッドフォンも次の世代へ

そんな僕の愛用品のMDR-7506ですが、さすがに長年使っているとボロボロになってくるものでして、イヤーパッドは交換できるもののヘッドバンド部分もボロボロになってきて、今では使うたびに黒いカスが頭だけじゃなく作業机にもポロポロと散るようになってしまいました。

音質は今も良いのですが、再生する音の大きさと周波数によってはビリつきも起こるようになってきて、買い替えの時期となりました。

MDR-CD900STはいずれ買おうと思っていましたが、今回はMDR-7506的なポジションのモデルを考えていました。

またMDR-7506でも良かったのですが、一応まだ現行品も使えるので、異なるモニタリング環境で経験を積んでいこうということでAudio-technicaのATH-M40xを購入することにしました。
audio technica / ATH-M40x
実際に使ってみるとMDR-7506のようにフラットな再生音で、違和感なくモニタリングすることができました。

まだ使い始めたばかりなので、もうしばらく使いこんでいくと聞こえ方も違ってくると思いますが、現時点での感想はMDR-7506に比べて低音が少し薄くタイトな感じで(この辺りは変わってくると思います)、音の奥行きが増して若干音像が遠くなった印象です。

それぞれの音の分離が良く、MDR-7506よりは単独の音の聞き分けがしやすい気がします。

その反面、若干音が細く聞こえます。

ただ、この辺りはMDR-7506が使いこまれていて馴染んだスピーカーからの音ということも関係していると思うので、今後ATH-M40xも音が太くなって音像が近くなってくるかもしれません。

MDR-7506はカーリーコードなのですが、ATH-M40xはケーブルが脱着式でカーリーコードとストレートのケーブル、あとはスマホ用の短いケーブルが付属でついていて用途に応じて選べます。

僕は録音の時にはMDR-7506に延長ケーブルを繋いで使っていたので、長いストレートケーブルは大助かりでした。

DTMをするなら愛用のヘッドフォンを持っておきたい

オーディオインターフェイスやモニタースピーカーに比べるとヘッドフォンはそれほど高価ではないので、DTMをするなら早い時点でモニターヘッドフォンを持っておくと良いと思います。

ミックスをするにしても、どういうバランスを目指せば良いのか、コンプはどれぐらいかけたらいいのか、リバーブはどれぐらいかけるかなど頭で考えても答えが出せないことが多いです。

極論を言えば、自分の好きなようにやれば良いってことになると思いますが、自分の好きなミックスとは?ということも分かっていないと、好きなようにやれと言われてもどうしたら良いのか分からないんですよね。少なくとも僕はそうでした。

なので、同じ再生環境でいろいろな音源を聴き比べて、自分の好きな曲はどんなミックスのバランスになっているのか、リバーブはどれぐらいかかっているのか、音像はどれぐらい近いのか、あるいは遠いのかなど音を分析しながら聴いて、自分自身の経験値を上げていく期間がミックスの前段階としてあるのではないかと思います。

この時に、「このヘッドフォンではこう聞こえる」という基準を自分の中に持っておくことはとても大切なことで、その後のミックスの作業の中で活きてきます。

僕は、ミックスの作業の際にリバーブをどれぐらいかけるかをヘッドフォンで判断することも多いです。

モニタースピーカーでは、部屋の残響音や外部の音なども混じって聞こえてくるので、純粋に再生音を分析するにはヘッドフォンがとても役に立ちます。

アパート暮らしの身ではモニタースピーカーで大きな音を出すのが難しいこともありますし、夜中の作業ではスピーカーも使いにくいですから、そういう点でもメリットが大きいですし、お気に入りのヘッドフォンで快適に作業できるのはモチベーションが上がります。

これからDTMを始めようとする人、ミックスに挑戦する人、DTM環境をステップアップさせたい人はまずヘッドフォンを検討してみてはどうでしょう?

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