昨日はCAN-ZOさんで独り弾き語りの初日でした。
お店に入る前にスタジオで1時間ぐらい寝てからちょっとリハして準備を整えていこうと思っていたのですが、残業に追われて結局簡単に夕飯を済ませてお店入りというバタバタ状態になってしまいました。
仕事は色々な人との関わりの中で成り立っているものですから、なかなかね、思うようには事が運ばない事もありますね。
自分にとって大事なイベントにコンディションを整えておけないというのは精神的に厳しいですが、地道にできる範囲でやっていくしかないなぁとのことで気を取り直してCAN-ZOさんに到着です。
さすがに月曜日だけあって、お客さんは顔見知りの方々がポツリという感じでした。
「こんばんは~。」
「あれ~? 今日は1人なの?」
「そうなんですよ~、いつものメンバーは用事があってお休みなんです。」
「そうなんだ~。じゃぁ今日はもしかして歌うの?」
「はい~。でも今日はお店がスローな感じなので練習みたいなものですね。」
「いいじゃん。楽しみにしてるよ~。」
「ありがとうございます~。」
と、こんな感じでその夜は始まりました。
残業での疲労も本番前のリハができなかった事も大して関係なさそうなので、ほっとしながら準備に取りかかりました。
ところが、セッティングをしている際にかすかなハウリングが気になりまして、色々と試してはみたもののなかなか収まらないという困った事態に陥いるはめに。
アコースティックのPAのセッティングではいつも泣かされていまして、中途半端な状態で始めると良い演奏ができない事は何回も体験しているので、これをなんとかしないとこの夜の演奏がどうなるかは目に見えています。
どうしたものかなぁと思案にくれていたところ、それを見かねて「そのまま音出していて」と音響に詳しいお客さんがPAのセッティングをしてくださいました。
なんとなんと、これがまた絶品でして!!
スピーカーからきちんと音が出ているようなのですが、弾いている自分の位置からではあまりにも自然過ぎてスピーカーから音が出ているとは思えないほどでした。
これには本当に驚きました!
「すっごいナチュラルに聴こえますね!」
「でしょ♪」
同じ機材でも使う人が使うとこうも違うものなんだなぁと改めて実感しましたねぇ。
その場で色々と質問させてもらってセッティングについて簡単なポイントを教えてもらったんですが、PAも奥が深い世界ですね。
音も生物なんだなって思いましたよ。
今までアコースティックで演奏する時はいつもスピーカーからの出音が気になって演奏に集中しきれない事ばかりだったので、PAのセッティングを出していただけた事は本当に大助かりでした。
この体験1つだけでも弾き語り強化週間に挑戦した甲斐があったというものです。
PAを信頼できる人に見てもらえると演奏の時の心持ちも随分と違うものですね。
自分が見よう見まねでやっているとちょっと何かあると気になってしまうような事も、マイクとの距離と声の出し方の調節だけで対処すれば済んでしまいましたし、実際のところ、演奏中に自分に聴こえるギターの音も歌声も全く違和感が無く、普段部屋で練習しているのと変わらないニュアンスで演奏できました。
PAの存在を忘れさせてしまうセッティングの妙技。
これって本当に凄い事ですよね。
数曲演奏したところでグループのお客さんがいらしたので会話でお店もちょっと賑やかになってきました。
そんな訳で、普段のボッサなしっとりムードから賑やかムードに選曲をチェンジです。
前回の学習と反省が役に立ちますね。
ついでに歌い方もちょっと声を張ってみたりしてね。
昔はこの声の具合を意識的に変える事さえできなかったんですけど、その辺りを少しはコントロールできるようになってきたのかと思うと、通勤時間の社内発声練習の積み重ねが活きているなぁと実感します。
3年前は本当に音痴でしたからねぇ。
厄年期間を無駄に過ごさずに済んで本当に良かったなぁと地道に続けてきた過去の自分に感謝です。
自分の演奏はミスがちらほらと出てくるいつも通りのものでしたが、選曲のおかげもあってそれなりに楽しんでもらえたようです。
お客さん達はそれぞれの会話で盛り上がっていつつも、その中で演奏に合わせてリズムを取りながら話をしてる方もいたりして、なかなか嬉しい手応えを感じました。
まぁ、軽く聞き流されているだけなんですけど、それでもぎこちない演奏で会話の邪魔をする事も無く、会話もはずんでいるようなので「可」としておこうと思います。
なんにせよ、お客さんに思い思いに楽しい場を過ごしてもらえているというのが一番ですね。
気を抜くとやっぱりミスが出てしまうのですが、それは今後の反復練習で消化していくとして、まずは本番でしか得られない演奏中のメンタル維持の経験を積む事を心がけました。
そこが自分には決定的に欠けている部分ですからね。
お客さん達が帰る頃になり、席を立たれた際にこちらを向いて笑顔でにこっとしてくださったのがとても嬉しかったです。
少しは楽しんでもらえたのかなとほっとするのと同時に、ほっこりとした気分にさせてもらいました。
こういうのって良いですよね。
嬉しい事に、気がついたら僕のドリンクが置いてあるテーブルにはチップが置かれていました。
おぉ~!!
考えてみたら、これって自分1人の弾き語りで初めていただいたお金なんですよね。
嬉しいというよりも、本当に「有り難い」という言葉がしっくりきましたねぇ。
チップというよりは「おひねり」という言葉がしっくりきそうです。
その額は....$2...。
$1札が2枚...。
これが$5や$10ではないというところが自分がどの程度のものなのかを物語っていますね。
気持ちは有り難くいただきましたが、それと同時にシビアな評価をいただきました。
でも、これはこれでとても有り難い事だなぁと思います。
ここで$5や$10札をいただいていたら調子に乗って油断してしまうところだったと思います。
「お前の演奏は$1札だ!」
これが現実だと思います。
と、同時に、これを今後$5、$10さらには$20札を喜んで置きたくなるような気分になってもらえる演奏をできるようになるにはどうしたらいいのか?
今までは縁遠かった話ですが、実際に取り組むべき問題として新しい課題ができました。
これもこの夜に自分が手にした大きな実りでした。
ただ何となく演奏して、何となくうまくいった、良かったなぁ~ではなく、自分の程度を知り、対策を練るべき課題を手にして家路に付けたという事は願ってもいなかった事でして、ひょんな事からやってきた弾き語り強化週間という成長の節目を向かえることができた縁をとても有り難く思いました。
今週末の金曜日、来週の月曜日とまだ弾き語りの機会が待っていますが、地道に1つずつ積み重ねていきたいと思っています。
僕が弾き語りで初めて手にしたお金は$1札2枚。
そのことをずっと心にとどめておきたいと思うのでこうして音楽日記に書き記しておきます。
こういう風に自分の歴史を日記として紡いでいくのは悪くないものですね。
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