昨日はCAN-ZOさんでの2回目の演奏でした。
金曜日は週末で賑わうので、ほぼ満席状態。
そんな訳で、お客さんは会話で盛り上がり笑い声がお店中に満ちあふれます。
料理も行ったり来たり、トイレに行く人もありと人の流れも常に動いています。
お店に活気があるっていうのはとても良いことですね♪
しかし、これは演奏者側にはちょっとキツイ環境です。
一度でも来られた方ならご存知だと思いますが、CAN-ZOさんは小ぶりなお店ですので演奏者が3人いるとキッチンからテーブルに運ぶ料理やトイレに行く人の道をふさいでしまいます。
しかもベースってネックが長いですよね。
小さいアンプを持ってきてもゆったりと譜面が見られるようにスペースを確保すると思いっきりお客さんの道をブロックしてしまいます。
これはいかんですよね。
一応、横向きに演奏してネックがお客さんの道を塞がないように気をつけてはいるんですけど、それでもネックは長いですからね。
お客さんが席を立って歩く姿が見えたら「はい、どうぞ〜♪」って感じで道を開けてあげたいものです。
やっぱりね、誰よりもお客さんにCAN-ZOさんにいることを楽しんでもらいたいですからね。
でね、そうするとですね、実力不足な演奏者としては「あれ?今どこだったっけ?」って進行を見失っちゃうんですよね。
これはまずいですよね〜。
ある程度知っている曲なら良いんですけど、聞いたことがない曲や複雑な展開の曲、癖のあるコード進行の曲だったりすると見失うと戻るのも大変です。
初見の曲だったら一度見失うと終わりです。
なぁ〜るぅ〜ほぉ〜どぉ〜!
これはものすごく鍛えられますね!
まさに現場ならではの必須項目!
今まで以上に譜面と楽曲への理解と対応の素早さが求められますね。
お客さんにストレスなく過ごしていただくためにも、共演者さんに不快な想いをさせないためにもビシッと鍛え上げていきたいと思います。
さらに、金曜日はお店が活気あるので演奏の音よりもお客さんの会話や笑い声の方が大きいこともしょっちゅうです。
笑い声のリズムに耳がいってテンポを見失っちゃったり…。
あらららぁ〜って感じですね。
しかもギターソロのバックでベースがリズムをキープしてる時にこれをやってしまうと致命的です。
自分もギターを弾くので分かるんですけど、ジャズ系のソロっていうのはかなり際どいところでリズムの裏を狙ったり、崩してきたりと、実はバックがかなり正確にビートを刻んでくれないと演奏に入っていけないんですよね。
バックのリズムが悪いな〜ってなっちゃうとそれが気になってインスピレーションの妨げになっていい音楽が生まれないんです。
ソロイストの妨害、これはベーシストとしては絶対にやってはいけないことだと思います。
しかも僕がベースを弾く時っていつもドラマーがいるバンド状態。
自分が見失ってもドラマーがキープしてくれているんで、そこに戻れば良いだけだったんですけど、ギターとベースだけの演奏ではそうはいきません。
戻るべき自分の中のタイムが乱れてしまっては演奏も終わりです。
タイム感をかなりの精度まで高めないといけませんね。
以前に凄腕ドラマーさんと一緒に演奏した時に定規の目盛りのようにビートが見えたことがあって驚いたことがあるんですけど、他人事ではなく必須項目として自分もそこを目指さなければいけないなと痛感しました。
さらに、今までの演奏環境はお客さんが見にきてくれている状況。
みなさん音楽を聴くことに集中してくださるわけです。
でも、こういう場での演奏はみなさん思い思いの時間を過ごされています。
演奏を楽しんでいる方もいれば、音楽で会話が弾んで楽しいお酒を呑まれている方もいます。
聴いても楽しめ、聞き流しても心地よく、意識しようとしまいと音楽が楽しい空間を演出しているような状況です。
ぎこちない演奏になってその場がしらけてしまうことだけは避けたいですよね。
楽しいお酒と心地よい音楽♪
こういう場では、やっぱり目指したいのはそこですね♪
家路につくお客さんが席を立った時にこちらをみてニコッとしてくださったことがあったんですけど、思わず心の中で「ありがとうございました〜♪」ってニコッとなりました。
その時にね、あぁこれだな〜って思ったんです。
トイレに立つお客さんが視界に入った時、演奏しながら「どうぞどうぞ〜♪」って道を開けたり、料理がキッチンから出てくる時、「はい、料理が美味しいうちにお届けしたいですよね。」って道を開けたりした時にも、あぁこうだよなぁ〜って思いました。
その都度、演奏に支障が出てしまうのは実力不足なのですが、でも、これっていいなって思いました。
言うならば、酒場での音楽ってやつですか?
この、みんなでお店にいるんだっていう感覚、この場にいるみんなで楽しい時間を共有しているんだっていう状況。
今まで自分はそんな状況を外から見るだけの存在で、いい演奏があるのにみんな会話に夢中になって演奏者はどう思うんだろうって思うこともありました。
演奏技術を磨くのは簡単なことではなく、生活を維持しながら続けることさえ困難で、常に自分自身の技術の限界を痛いほど突きつけられ、それを乗り越えるためにもがくように練習する日々なのに。
それをもって臨む場なのに、会話や食事がメインで音楽はメインディッシュではないという状況。
時にはそれが腹立たしくなったり、悲しく思ったりすることもありました。
でも、実際に演奏する側になってみると、あぁ、これでいいんだなって、お客さんが思い思いに楽しい時間を過ごしてもらって笑顔で家路につけることってなんて素敵なことなんだろうって、それに少しでも貢献できたとしたらなんて素晴らしいことなんだろうって…そんな風に感じました。
もちろん音楽の傾向やその場の雰囲気によって違いはあると思いますけどね。
俗に言うライブコンサートでの音楽を通じてのその場の共有感とはちがう共有感。
時にBGMとなり、時に盛り上げ役となる酒場の音楽。
なんかとっても自分的にイイ感じです。
もともとお酒と大人の音楽は切っても切れない仲。
この酒場の音楽の世界、意外と自分にあうかもしれません♪
CAN-ZOさんに頂いたこの機会、現場でもまれながら楽しい酒場を演出できる演奏家に自分を鍛え上げていきたいと思います。
いつもより多くいただいたらしいチップジャーの中のお札と帰り際のお客さんの笑顔に人の心の温もりを感じた週末の夜の出来事なのでした。
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