2003年の初夏のある日、音楽をやっている友人とこんな会話がありました。
友人「自分は作曲が苦手なんだけど、作曲って難しくない?」
僕「いきなり高度なものを作ろうとしなければ簡単じゃない?」
友人「でも、何から手をつけたらいいのか良く分からないんだよね。」
僕「まずは簡単なデモソングを録音しながら作ってみたら?」
友人「それって結構大変なんじゃない?」
僕「そんなことないよ。慣れたら簡単だよ。」
友人「マジで? そういえばどんな音楽をやってるの?」
僕「ちょっと前までポップっぽいロックな感じのバンドをやってたよ。じゃぁ、そんな感じのデモを新しく作って明日持ってこようか?」
ということで、一晩でデモソングを作ってみることにしました。
即席デモソングなので新しいことにチャレンジするよりも、慣れ親しんだスタイルでぱぱっと作り上げることにしました。
メロディーもどこかで聞いたことあるような感じだけど、とりあえず形にすることが先ということで深く考えずに仕上げて翌日に友人に聞かせました。
「へぇ〜、これぐらいのが一晩でできるんだ。自分もちょっと練習してみようかな。」
その後しばらくして彼は相方の女の子ボーカルを見つけ、オリジナル曲でライブをすることになるのでした。
そして、しばらく後に彼女となったボーカルの子と数年後に帰国して結婚しました。
彼はずっとアメリカにいるつもりだったのですが、自分よりも大切な人を見つけたんでしょうね。
彼女を幸せにしたいという男気のある決断でした。
人生って何が起こるか分からないものですが、様々な人生が思いがけないところで交わりあっていくものですね。
こっちにいると親しくなった人が帰国する寂しさを何度も体験することになりますが、それもまた人生。
お互いの人生のある期間を一緒に過ごし、共に笑いあうことができたということはとても素晴らしいこと。
きっと二人は今も日本で幸せに暮らしていることと思います。
出会いと別れ、今まで歩いて来た道とこれから歩いて行く道。
自分の音楽性がこのデモソング以降作風が大きく変わっていくのですが、友人のエピソードとあわせ、「節目」を連想させるデモソングとなりました。
ちなみに、何か聞いたことあるメロディーだなぁと思っていたのは、Eric Claptonの「Peaches & Diesel」だったと気付いたのはほんの少し後のことでした。
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