2003年5月の作品です。
実際は『Inner Space』のほうが半年近く先に手をつけていたのですが,なかなか良いアイデアが浮かばなかったので,この曲の方が先に完成しました。
当時は、ぼろ家を数人でシェアして暮らしていました。
場所はLAでもそれなりに危険なところと言われているEast L.A.。
メキシカンの多いエリアで、ギャングも暮らしている町です。
ある朝、おばさんが泣きながら歩いていたのでどうしたのかな?と思ったところ、僕らが暮らしている家の目の前の交差点でライバルグループのギャングに銃殺されたと聞きました。
そんな事件が珍しくないエリアだったんですね。
今思うと貧乏とはいえ、よくあんなところで暮らしていたなぁと思います。
さて、そんなエリアのぼろ家のハウスメイトの一人であるSoichiroさんがギターを弾く人でして、彼が練習用に使っていたQY-100を貸してくれたのですが、そのクオリティの高さに衝撃を受けたのを今でも覚えています。
当時のYamahaポータブルシーケンサーシリーズの最高峰のQY100。
僕が使っていた中古のQY20やRY8とは何世代もの差があるのは当然です。
音色の進化もさることながらプリセットパターンがとても音楽的に洗練されていて、イントロやアウトロなどのパートも兼ね備えていて、そのまま使っても十分に楽曲として成り立ってしまうほどでした。
QY100に惚れ込んだ僕は、しばらくの間彼からQY100を貸してもらってプリセットパターンを聴きあさっていたのが忘れられません。
Soichiroさんの帰国でQY100ともお別れとなってしまったのですが、とても気に入っている機種だったので中古で購入し、バンドもなくなって一人に戻ったこともあって作曲の勉強がてらデモ音源を作っていくことにしました。
いくつか気に入ったパターンを選んだ後、その中でも特に気に入ったパターンを使って今まで作ったことがない壮大な雰囲気の曲に挑戦してみたくなりました。
そう思わせるのに十分な雰囲気を持った音質だったんですね。
まるで雲の上の天上界を想わせるかのようなプリセットパターン。
特に秀逸なのがそのパターンのイントロでした。
それをひたすら聞いてイメージを膨らませていきました。
言うならば、そのイントロを使いたいがために作ったようなものです。
コード進行もゆったりとスケールの大きなものにして、雄大で荘厳な雰囲気を生かすようにしました。
今の時代はポータブル機でもこれぐらいのものが作れるようになっているんだなと時代の進化を感じると同時に、個人での音源制作の可能性の広がりを感じる曲となりました。
ほとんどQY100だのみのデモソングでしかないのでこれをオリジナル作品と言っていいのかは微妙ですが、気に入っている曲の一つとなっています。
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