「Recollections」の録音から数年後、僕の暮らしは日本からL.A.に移りました。
当時はLAに来て2年、30代になったばかりの2001年の冬。
その頃は友人も音楽をやっている知り合いもいなく、情けないほどにお金も無く、異国の地で自分の足で立って生きていけるように生活の基盤を整えようと悪戦苦闘する中、一人ぼっちで自分の音楽を模索していた時期です。
アメリカで初めて手に入れたギターはそれまで弾いたことがなかったガットギター。
バンドも無く、かといって誰かと一緒に演奏しようにも機材のない僕は、自分にとって懐かしくて新しい音色のたった一本のギターを活かして、一人ぼっちの自分でも完成できる音楽を求めていました。
誰でもコンピューターを使って音楽が作れるようになる時代がやってくると雑誌で言われ始めた頃。
貧乏な自分が持っていたのは初めて手にしたガットギター、日本から持ってきたYamahaの安いリズムマシーンとMDウォークマン。
メロディーを五線譜に書き出して、リズムマシーンを鳴らしながらMDウォークマンのマイクで録音する恐怖の一発録りです。
今からは信じられない環境ですが、それでも当時はこれで自分の曲が作れる、録音ができると喜んでいたものです。
編集する機械も知識もないので何回も何回も録り直し、最後まで行っては力尽きて音が途切れて録り直し、集中力が切れては音がへたって録り直し、左手が疲れて使い物にならなくなって休んでは録り直し…。
そんな中で、やっと弾ききったテイクです。
ところどころタイミングが甘かったり、音がかすれていたりしますが、当時の自分の技量ではこれが精一杯のベストテイクでした。
今やれと言われても最後まで弾ききれるかは疑問ですが。(^^;
Bridgeの部分で出てくる「Unforgetable」のフレーズは、音楽理論の勉強を通じてジャズへの関心を持ち始めた時期の影響かもしれません。
10年以上前にこれぐらい弾けていたのかと思うと、今でもあんまり演奏技術は上がっていないのかもなぁなんて思うほどです。
でも、その頃は伴奏ができなかったのでそっち方面は段違いですけどね。
メロディーの流れや全体の雰囲気は今の作品とあまり変わりませんね。
(昔の画像を見つけたんですけど、画素の低いものしか残ってませんでした。ごめんなさい。)
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