A Solitaly Man (孤独な男) -90年代半ば

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ラフなデモテープですが、これが僕にとって記念すべきオリジナル作品第1号です。

当時はただのロック好きなギター兄ちゃんでして、音楽理論はもちろんのこと、コードのことも良く知らないというまさにリフ至上主義な状態でした。

今をさかのぼること20年近く、当時は20代前半でした。

ちょうど先輩バンドがバンドの方向性を固めオリジナル曲をどんどん書いて急速に進化していくのを間近で見ていて、作曲というのに興味を持ち始めていた頃でした。

僕はといえばギターは好きでしたがとても下手くそで、いくつか経験したバンドでもギターソロといえばペンタ一発、カバー曲以外に使えるコード進行は単純なブルース進行だけという典型的なギター小僧でした。

その先を見据えた時にこのままではどうにもならないと思ったのもあって、コードに強くなることと作曲を学ぶ必要性を強く感じ始めました。

どこかのバンドに入ってメジャーを目指すとしてもデモテープを作れないと話にならないですし、オリジナル曲が書けないようではただのギター小僧で終わってしまいますからね。

当時はバンドブームが終わり、ウケ狙いのイロモノ的なバンドが淘汰されていっていました。

でも、音楽といえばバンドという風潮は残っていて、何か新しい流れが始まりそうでまだ始まっていない模索状態のような時代だっという印象が残っています。

日本の音楽シーンで言ったら、ミスチルやスピッツが出てきたかちょっと前だったか、そんな頃だったように思えます。

洋楽シーンで言ったらOasisやBlurなどのブリットポップが流行っていた頃だったと思います。

今のようにネットが普及していない時代で、リハーサルスタジオにはメンバー募集の張り紙がたくさん壁に貼られて、音楽雑誌ではメンバー募集のコーナーが賑わっていました。

「よし、自分がやりたいロックはこんな感じだっていうデモテープを作って、どこかのバンドに入ろう!」

それは音楽理論や作曲の本を買い漁って勉強を始める少しだけ前の話。

まずは習うより慣れろということで、バンドのデモテープを作るために買ったtascam製の4トラックMTR「Porta07」でマニュアルとにらめっこしながら音源制作を始めました。

今とは時代が違ってコンピューターでの作曲などまだまだ考えられなかった時代。

YamahaのRY-8というリズムマシーンでリズムパターンを打ち込んで録音。

空いたトラックにベースを録音。

さらにギターを録音して、ピンポンさせてトラックに空きを作って重ねて録音。

タイミングやピッチの補正などありえないどころか、そんな発想さえない時代、録り直しをすればするほどテープがへたって音質が悪化するので、相当練習してからでないと録音に入ることさえできないアナログな時代でした。

下手くそで未熟、退屈な音源ですけど、当時を生々しく思い出させてくれる録音です。

今でこそ色々とコードを自由に操れるようになり、メロディーだってデザインして作り出せるようになって、良い曲だねと言ってもらえる曲も書けるようになってきていますが、最初はこんなレベルでした。

すっかりボサノヴァのイメージが定着しているRiocatoの音楽が頭にある友人達にはとても意外に思われるかもしれません。

「なぁ〜んだ、最初はあいつもこんなもんだったんだ」とこれから作曲の道を歩き始める人達に少しばかりの安心感と「俺でもできるな」と希望や可能性に目を向けてもらえることができたとしたら、こうやって過去の未熟な音源を晒すのも少しは誰かの役に立てるのかもしれませんね。

そして、僕が成長していく足跡を楽しんでもらえたとしたら、このサイトを作った意味もあるのではないかと思います。


LR Tascam Porta 07 yamaha_ry8

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